熱海ビッグエッグのコンセプト

先日、熱海市の岡本ホテル跡地利用について市民アンケートを集うために案を提示しました。皆様からのご意見をいただくために何かあればと考え用意したものです。当然ながら提案は様々に考えられますが、一例として作成をしたものですので概要を説明したいと思います。

なお、この案の作成はTeam.MITでとりまとめたものになります。

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全体の形状はグランドラインである1階の土台に食い込むような形でたまご上の球体を載せています。あたかも巣の中のたまごといったところです。

たまごは不思議なものです。生命を宿す殻であり、とても壊れずらい形状となっています。熱海市の市民の皆様でここから何かを生み出し、新たなコミュニティを育み育てるというまちの求心力である施設であるのに、安かろうもしくは機能さえあれば良いであろうという安易なものであるべきではないと私たちは考えています。まちを想い、親しみを感じ、ここで育ち、友と出会い、家族とともに過ごしてきたまちであり施設である、そんな故郷の想い出となる風景が必要であるかと思います。

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思い起こしてください。小学校、中学校のころの記憶を。その街の風景があり、学び遊んだ学校や図書館、コミュニティーセンターや児童館。そういった記憶の風景が残っているかと思います。そのような場から大人となり、社会の中で生きるすべを学んできているはずです。

想い出に残る風景=故郷の風景

この情景を未来を担う子どもたちに残すことは社会に活きるおとなの使命ではないでしょうか。

自分たちの時はこうだったといったと昔を振り返る自分に気づいてください。こどもたちもいずれ同じように想い出の情景を振り返り、懐かしみます。

そのときに殺伐としたプレファブの光景で良いものでしょうか。

すくなくとも、私たちの思う意思や気持ちを形に表して残しておくことは次を担うもの達への心遣いといえるのではないでしょうか。

そしてそれがきっとデザインというものでしょう。

bigegg_panel_FA1-1本提案では1階が出会いのスペースとして想定しています。

ここから2階へ上がると2、3、4階は図書ゾーンとなっています。
本は、人の経験の凝縮です。ここから知恵や経験、そして人生を学ぶことができます。そしてまちの財産でもあります。

保管場所がないからと破棄していくのは人生の損失であり、お金に換えることのできないまちの財産の損失といえます。

そこでわたしたちはできるだけ多くの書籍を残せるように機械式の閉架書庫を提案しています。通常の閉架書庫は多くても290冊/㎡程度ですが、機械式にすることで倍以上の収蔵量を確保することが可能となります。蔵書の管理はコンピューター端末により管理できるので出し入れも容易に行えます。

5階より上部は市民ホールとなっています。ステージと可動客席を備え、400席程度を確保することができます。卵形の形状を活かした臨場感のあるステージ効果が期待できます。

地下は施設を利用する方の利便性を考え駐車場を2層分に渡って計画するとともに、地下1階は会議やセミナー等さまざまな活動をおこなえる多目的室を計画しています。

さらに、道路向かいの熱海市文化会館との連携を図ることができるように地下道を計画しています。これにより、互いに施設を有効に活用することができるようになります。公共の道路下に通路を設置することは法令上難しいという方もいらっしゃると思いますが、法令ありきの施設ではないはずです。ひと在りきで考えるべきであり、今を活きる私たちにあわせた法令にフレキシブルにフィットさせていくべきと考えます。特に、政治を担う皆様には深い思慮と行動力を期待します。

bigegg_panel_FA1-4これをきっかけとして、まちで暮らし活動をするみなさまには自分たちにとって良いと思える施設のあり方を考える動機づけになれば幸いです。

市民アンケートを下記にて模型・パネル展示とともに実施しております。ぜひ一度足を運んでいただきアンケートにご意見をどしどしお寄せ下さい。取りまとめて熱海市の方に提示します。

カフェロカ
http://caferoca.jp

また、伊豆新聞に記事掲載されましたのでお知らせします。
http://izu-np.co.jp/atami/news/20150427iz2000000114000c.html