ここ数日Facebookなどのタイムラインに「敷居が高いイメージの「建築家」…満足度はなんと7割超え!その理由を徹底リサーチ」といった記事引用が出てきました。二次情報や三次情報で語っている記事が多いので元をたどってみたらハイアス・アンド・カンパニー株式会社というところが実施した「建築家と建てる家に関する意識調査2016」が元ネタでした。

ハイアス・アンド・カンパニー株式会社による「建築家と建てる家に関する意識調査2016」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000190.000000155.html

内容についてはリンク先をご覧いただければと思います。

さて、実際のところ建築家に頼むとどうなのかというところですが、大きいところは相性がお互いに合うかどうかではないかと個人的には感じています。趣味や嗜好が近い程に当然ながらできあがりも期待に近くなり満足度合いは高くなります。

つぎに考えられることとして建築家の知識と技量/経験値が影響してくるかと思います。

住宅メーカーや工務店などで検討する場合に起きるのが、営業や設計の担当者スキルが低くてリクエストに応えきれないケースです。これはある程度やむを得ない面があります。というのも自社商品に関する知識以外の知識習得の時間が後回しとなり、一般的な建築の知識レベルがどうしても低くなるためです。

ひたすらに知識を吸収し技量を磨き、経験値を上げることに日々を費やすことで発揮している独創性や応用力をもつ建築家には到底かなわないということになります。これは良い悪いではなく、要はどこにどれだけの時間をかけているかがその専門性の高さに現れているといえます。なお、それらの会社に所属している設計者の中には業務外において自己研鑽に励み、非常にハイレベルなスキルと感性を持つ人材がいることもよく知っていますのですべてが当てはまる訳ではないことも言い添えておきます。

このように住宅メーカーや工務店等では、規模が大きくなる程に人材のスキル幅が大きくブレがちになりますので、それをカバーするだけの商品設定や高品質なカタログに販売促進マニュアルなどが存在している訳です。

さて、一方でいろいろ期待に応えてくれそうな建築家ですが、建築家に頼むと高いといわれることがあります。
一般的な相場感として、平均的な新築木造住宅の設計監理業務の報酬はおそらく200〜300万円程度であることが多いかと思います。でも本当は少なくとも300万円からにしないと建築士事務所を経営していくには厳しいというのが実情でしょう。基本的に情に厚い人種が多いため「安くして〜お願いっ」といわれて良し良しとしてしまうところがあります。ちなみに弊社ではどんなに小さい規模でも最低設計料は250万円からとしています。

では、これだけの設計監理料を払ってできあがった建物は、建築家の手によるモノなだけにさぞお高いかというとそうでもありません。それは設計段階でコストパフォーマンスをにらみながら間取りも材料も吟味するからです。そして、建設会社から提示された見積書も内容を精査して無駄のない適正コストに調整をするからです。

結果として、住宅メーカーや工務店と建築家に同じ内容で依頼した場合を総額で比較すると、建築家に依頼した方が安くなるケースが多くあります。実際に自分が関わった住宅においては概ね同様の結果となっています。

ちなみに「設計料は無料です」というところは信用しない方が良いです。必ず設計者は存在していますし、その人件費(社員であれば給料)がかかっていますので建築工事費の中にある経費に含まれているからです。これが説明できない会社もしくは社員は見積書の内容が理解できていないことを自らカミングアウトしているようなものです(笑)。

ともあれ話題に取り上げた意識調査の結果にある建築家に頼んだ場合の満足度が高いというのは、前述の内容を踏まえると順当な結果ではないかと思います。

意識調査のような結果があるとはいえ、建築家へのオファーはまだまだ一般的にはなっていません。どうも建築家に頼むということがとても敷居の高いことのように思われていますが、このあたりは建築設計事務所や建築家とはなんぞやという情報をきちんと発信していく必要があるといえます。ということで自分ももっと情報発信をたくさんしようと思います。

感共建築ラボは、昨年9月に設立したわたしたちひとの感覚的な快適さを建物だけでなくその外側も含めて考えている建築家集団です。私たちのセミナーでは、これらの取組みをご紹介するとともに一緒に体感できるプログラムをご用意しております。

ぜひ一度ご参加頂ければ幸いです。

http://kankyo-labo.jp/感共建築ラボ第4回セミナー開催に向けて
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感共建築ラボ代表 寺本勉