私はミーハー気質なところがあるので、話題の映画や音楽などはある程度チェックするのですが、今回、日本経済新聞2016年4月30日付に気になる記事があったのでご紹介します。〈団地〉を題材にしている映画の話です。

 

阪本順治さんと是枝裕和さんのお二人が団地を舞台として映画を撮られました。『団地』と『海よりもまだ深く』の2本です。以下あらすじです。

舞台は大阪近郊にある古ぼけた団地。山下ヒナ子・清治の夫婦は、二人きりでひっそり暮らしている。半年ほど前、とある事情で家業の漢方薬局を廃業し、ここに引っ越してきたばかり。毎日、ヒナ子はパートの仕事に出かけ、清治は植物図鑑片手に裏の林を散歩三昧だ。どこか世を捨てた雰囲気に、隣人たちは好奇心を隠せない。ある日、団地内のちょっとした事件をきっかけに、ヘソを曲げた清治は床下の収納庫に潜ってしまう。「僕は死んだことにしてくれ!」。それから二か月──。団地からふっつり姿を消した清治について、ご近所では失踪説が流れていた。何ごともなかったかのように淡々とパートに通い続けるヒナ子。「山下さんていう人、殺されてると思う」。やがて、ある主婦が思わず口走った言葉をきっかけに噂は一気にエスカレート! 団地中を妄想が渦巻き、マスコミの取材クルーまでドッと押し寄せる。さらに、奇妙な立ち居振る舞いの青年が、山下家を訪れて……。(映画「団地」公式サイトよりhttp://danchi-movie.com/

笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)、15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが―。(映画「海よりもまだ深く」公式サイトよりhttp://gaga.ne.jp/umiyorimo/about.html#intro

団地の良さというか、抱えている問題をうまく活用しているように感じます。普通の住宅地ではなく、団地を舞台として選ぶ理由が両方にしっかりあるので面白そうです。団地にお住まいだった方は懐かしく感じる場面もあるかもしれませんね。

 

「団地」は戦後の住居不足の解消として全国に数え切れないほど建てられました。かつて団地に住むということが1つのステータスとして考えられていましたが、今日の少子高齢化時代に取り残されたかのように感じるものも少なくありません。エレベーターがないので上階に住む高齢の方は大変な思いで暮らしているかと思います。また、かつてあった活気も今や当時の面影すら残っていない地域も多く見られます。

私自身、団地に住んだ経験はありません。上京し、今住んでいる近辺には小規模団地がいくつかあり、大学に向かう度に通るのですが、なんだか物淋しい雰囲気がひしひしと伝わってきます。本当に昔は活気溢れていたのか??と毎回のように思います。最近、近所にあった公営団地のひとつはいつの間にか跡形もなく更地になっていました。

「海よりもまだ遠く」の監督を務めた是枝監督はそんな団地に「ここまで人工的なものに郷愁を感じるのは面白い」と言っていて、確かにそんな”哀愁”のようなものが現代の団地の味なのかもしれません。

この頃、映画館で映画を観れてなかったのでこれを機に2本ハシゴできるような日を作って観に行きたいと思います。

投稿:インターン田中怜(横浜市立大学大学院)