建築のお仕事をする際には関連する団体がありますが、そのうちのひとつに建築士事務所協会があります。この団体は建築士法に定められている法定団体になります。
こちらの神奈川会に所属しておもに景観・まちづくり専門委員会(一応委員長を務めています)で活動をしているのですが、ちょうどこの委員会の発足時に入会をしました。その年は2010年であり、翌年に東日本大震災が発生しました。

震災を契機に神奈川県より「神奈川県新たな応急仮設住宅調査検討業務委託」を受けて、当時はたった5人でスタートしたこの委員会でずいぶんと苦労をしながら調査報告をまとめた記憶が蘇ります。この時には実際に現地へ赴き、大雪の中三日三晩各地をまわっていろいろな人と出会い、自然の猛威に衝撃を受けるとともに自分の中で何ができるのかを真剣に考え抜いた経験がいまの自分の行動によく現れていると改めて感じます。

この調査はその後毎年継続していますが、一昨年からは神奈川県内各自治体約33カ所の実際の用地にて応急仮設住宅の計画を行うシミュレーションを毎年6,7カ所ずつ実施する内容となりました。はじめの2年でほぼ業務フローが確立できたので、昨年度より景観・まちづくり専門委員会の担当を離れ、新しく設置された施工部会に業務を引き継いでルーチン業務をこなしていただいています。

これらの調査の中で、神奈川県内でいざ災害が発生した時にどれだけみなが動けるのかと考えたときに、応急仮設住宅に関する企画や設計を担う人材の経験が不足していることや、状況に対しての対応力や企画する力量をみなでボトムアップしていかないと現実としては右往左往することになると感じ、ボトムアップのきっかけになればという想いから2012-2013年には「リアリティーのある応急仮設住宅の提案」をテーマにしたコンペティションを開催しました。
いつものことながら軍資金不足でもあったので、この時は建築技術教育普及センターの助成金の採択を受けて開催にこぎ着けました。この時の提出頂いた作品は下記サイトでご覧いただけます。ちなみにこのサイトはチラシなどのデザインも含め弊社にて制作しました。

http://www.j-kana.or.jp/k-compe/

また、これらの活動を経て昨年には神奈川県と建築士事務所協会にて災害協定を締結するなど、少しは貢献できたのかなと感じています。ちなみに、協会の人材がたくさんいたとしても災害協定が締結されていないと行政は依頼をすることができない仕組みになっています。ですのでこの災害協定締結の意味合いは大きいものと言えます。

このような歩みの中、今年は当神奈川会の40周年にあたり何か記念事業をというお話しになりました。担当副会長からの要請がありましたので記念事業としてはもう一歩踏み込んだ仮設住宅のコンペを提案したところこれでやりましょうということになり、今回のタイトルにあります-未来に活きる仮設住宅を問う-「40周年記念事業仮設住宅コンペティション」開催となりました。

内容としては、よりリアリティをもたせた仮設住宅をみなで考えようという仕掛けを考え、それがアイディアソン&ハッカソン大会の開催とそこで得られたアイディアなどの成果を仮設住宅の提案に盛り込むという構成へと思考がつながりました。
詳しいことは下記コンペ特設サイトをご覧ください。ちなみにこのサイトもまたチラシなどのデザインを含め弊社にて制作しました。まあ、時間がなくなって追い込まれた末に自分でつくって納期合わせをしたともいえますが・・・(笑)

http://www.j-kana.or.jp/k-compe2016/

どなたでも参加できます(アイディアソン&ハッカソン大会のみ参加も大歓迎)ので奮ってご応募ください。