1955年に日本住宅公団(現UR都市機構)が設立され、日本中に”団地”と呼ばれる集合住宅が急速に供給されました。

そんな団地も今や築30年以上を迎えるものが多く、時代に取り残されたかのように感じるものも少なくありません。

 日本経済新聞(2016年4月22日付)にこのような記事が記載されていました。

「【団地再生へ交流の場】県公社「二宮団地」戸数を3割減

神奈川県住宅供給公社は老朽化した「二宮団地」(二宮町)の再生に乗り出す。

住民の高齢化などで入居率が6割を切っているため、賃貸住宅28棟のうち10棟を解体し、戸数も約3割減らす。同時に入居者を呼び込むため、共同農園や調理設備を設けるなど、新たな魅力づくりも進める。」

 

二宮団地は1968〜1971年に建てられ、築48〜45年のいわば高経年の団地。

それと共に住民の高齢化も起こり、また都心部への人口集中などの要因から、上記のような問題が起こっています。

 こういった問題を抱えている団地はもはや珍しいものではなくなっています。空き家空き地が増えた住宅地は防犯や経済力と言った様々な問題を引き起こし、地域の魅力低下に直接的に影響してしまいます。

この二宮団地の団地再生キーワードとして『付加価値』があります。

『海や山が近いといった自然環境に恵まれ、竹林や果樹園なども身近にあることから「里山」をコンセプトにしたまちづくりを進める。』(日経 2016,4,22より)

 

二宮町は都心から電車で約1時間、とても自然豊かな土地の地域で、県公社はこのような自然環境の豊かさという魅力を二宮団地の「売り」として再生を進めて行く方針です。

また、棟数を減らした分、駐車場や高齢者向けの福祉施設、農園といった現代社会のニーズに沿ったものを整備し、築40年ともなると、現在の暮らし向きにも合わず、老朽化の解決のため小田原産の杉などを使ったリノベーションも施す予定だという。

 今後、日本社会はどんどん高齢化が進み人口が減少していく中で”今あるものをうまく使う”ということが鍵になってくるのではないでしょうか。

 投稿:インターン田中怜(横浜市立大学大学院)