Sa-House

はじめに

WEBマガジンfomifyの特集記事に「太陽と風の家」が掲載されました。上から3つ目になります。
特集内容は土間コンクリートです。

WEBマガジンfomify
https://www.homify.jp/ideabooks/1944394/土間コンクリートでおしゃれな床に!そのメリット・デメリット

さて、せっかくなので掲載されたことをネタにして、コンクリートやタイルについて温熱環境の切り口で記事化してみたいと思います。

 

土間コンクリートとタイル張り

土間コンクリートを採用する動機はいろいろありますが、一番多いのはタイル張りにしたいという時に「コンクリートを仕上げで見せるのもありだね」というケースかと思います。
土間のままといっても土間コンクリートは荒打ちなので、その上にもう一度ならしモルタルをして左官で仕上げることが多いです。そしてそのままだとセメントの粉が出てくるので、防塵処理のための塗装をします。この塗装により仕上がりの色味を変えることができます。

木造住宅内装工事中の写真

木造住宅内装工事中の写真 「太陽と風の家」      (設計 TERRAデザイン)

上記写真は「太陽と風の家」のタイル張りの前工程で下地モルタルを施工している写真です。

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タイル張り仕上げの様子 「太陽と風の家」      (設計 TERRAデザイン)

そしてこちらは「太陽と風の家」のタイル張りを施工したあとの写真です。ちなみに壁天井は漆喰塗りで仕上げています。

防塵仕上げとRC風仕上げ

防塵仕上げとRC風仕上げ「F邸住宅」         (設計 TERRAデザイン)

この写真の例はちょっと特殊です。右側がモルタルコテ仕上げの上に防塵を兼ねたカラー塗装をした部分になります。左側はこの上に特殊技術で模様をつけてコンクリート風に見せる仕上げを施しています。ここまで手をかけるとだいぶコストもかかってきます。

RC風床塗装仕上げ

RC風床塗装仕上げ「F邸住宅」      (設計 TERRAデザイン)

そしてこの写真がコンクリート風に仕上げた塗装床仕上げの例になります。(ちょっと散らかってる(笑))
この床には冷温水式床冷暖房が仕込まれています。コンクリートの熱容量を活かして蓄熱させることで輻射熱による涼しさや温かさが得られます。ちなみに、ここと同じ床冷暖房は「太陽と風の家」の土間タイル張りのところでも採用されています。

太陽熱とダイレクトゲイン

太陽熱とダイレクトゲイン(画像引用:感共建築ラボ)

また、「太陽と風の家」と「F邸住宅」はともに、図のような太陽熱を床に吸収・再放射させるダイレクトゲインの手法により、パッシブな室内温熱環境設計をしています。
このような方法は、エアコンのように気流による空気温度の制御ではなく放射(輻射)熱、いわゆる遠赤外線での温かさなので体に優しい体感温度制御ができるようになります。

 

快適さと関係の深い「熱容量・熱伝導」とは

熱容量が大きいということはどういうことでしょうか。
これは例えば、太陽の熱が鉄にあたっていると割とすぐ熱くなりますが冷めるのも速いのに対して、コンクリートにあたるとすぐには暖まりませんが、一度暖まるとしばらくの間じわじわと温かさがある状態になることを日常の中で感じられているかと思います。
この状況を計測すると
鉄は
「熱容量が大きい」+「熱伝導の値も大きい」=蓄熱量少
であるのに対し、
コンクリートは
「熱容量が大きい」+「熱伝導の値は小さい」=蓄熱量多
という結果になります。
つまり、熱の伝わり方が遅く熱を蓄えることのできる量の多い素材がコンクリートであるということになります。

材料

熱容量
容積比熱[KJ/㎥・℃]有効厚さ[m]

熱伝導率
[W/(m・K)]
放射率
(常温)ε
日射吸収率
コンクリート
レンガ
2013
0.20
1.6 0.85〜0.95 0.65〜0.80
磨き鉄板
(鋼材)
3600
制限なし
45 0.20〜0.30 0.40〜0.65

※放射率/日射吸収率は完全黒体を1.0とした場合
※数値引用:自立循環型住宅への設計ガイドライン
      (財団法人建築環境・省エネルギー機構)

このような熱容量の大きい素材を室内の相応の面積で用いた場合、室温の変動が緩くなり変動の幅もせまくなります。そして、外気温の変化と室温の変化に時間のズレが起きます。
これを利用することで、冬期であれば、日が暮れてからもコンクリート等からの放射熱により温かさを持続させることができ、夏期であれば、夜間の涼しさを蓄熱して陽が昇り出してからもしばらくの間は冷放射により涼しさが得られるようになります。

また、室内空気温度が低くても周辺壁の放射温度が高ければ体感温度は下がらないのですが、この辺りは別記事にて述べていきたいと思います。記事はこれから書きますが予告でリンク準備だけ先に書いておきます(笑)↓

体感温度については下記リンク先の記事もご参照ください。
(といいながらただいま記事化中ですのでもう少々お待ちください。)

 

まとめ

今回fomifyの特集記事にて掲載された写真はタイル張りを採用した事例になりますが、タイルの下は土間コンクリートですのでいずれも熱容量の大きい素材です。上手に温熱設計をすることでむやみに冷暖房に頼らないナチュラルで快適な暮らしを得ることができます。長い時間をかけて蓄積されてきた知識や技量・判断力は人間の知恵だなあと改めて感じますね。

それからコマーシャルですが、その他にもhomifyの弊社特設ページに作品実績が掲載されていますのでぜひご覧下さい。

homify弊社掲載ページ
https://www.homify.jp/professionals/75645

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平成28年一級建築士製図試験課題が発表されました。

1k-seizukadai-2016

http://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-seizu.html

課題「子ども・子育て支援センター
サブタイトル「保育所、児童館・子育て支援施設」 

保育所の不足や待機児童の問題などの社会情勢に反応したテーマです。そして、すっかり定番となった地域との交流連携の複合施設です。

過去に出題された関連課題としては下記のような課題がありました。
平成15年「保育所のある複合施設」
部門構成:保育所部門、情報センター部門、駐輪場部門
平成19年「子育て支援施設のあるコミュニティセンター」
部門構成:子育て支援部門、文化・教養活動部門、共用・管理部門

 サブタイトルにあるように大きく3つの部門に共用・管理部門が加わる部門構成が考えられますが、要求図書より3階建ての中で検討することになります。階別ゾーニングをするのか階ではなく縦方向に空間を利用するのかいくつか素案を面積割合とともに検討するパターンが考えられます。なお、3階建てということで作図量が多くなると思われます。

保育室関係が避難階以外の場合には、直通階段のほかにもうひとつ避難階段や避難器具による避難経路の確保が必要となることから(注4)においても避難階段に至る歩行距離・歩行経路の図示または記入を求めています。

空間構成的には最近の出題傾向より自由度が高い課題となると想像されますが、用途そのものはオーソドックスな課題といえます。課題文を施主の要望とし、いかに要望を満たしてなおかつ様々な提案をコンセプトとして計画案に実現させられるか、そして要求図書の中でどれだけPRできるかを考えると良いかと思います。

本課題で目につくのは(注1〜3)です。
(注1)はパッシブデザインを積極的に取り入れるような促しですが、これまでの国の施策として京都議定書から推進をしている二酸化炭素削減に関する政令が定められてきました。昨年からはそれらの実行期間にシフトしてきています。
品確法・長期優良住宅・自立循環型住宅・低炭素型住宅・改正省エネ法・ZEB・BELS・COP21などなど、一次エネルギー使用量の削減についてと、自前でエネルギーを確保する手法が多く盛り込まれています。
基本的には、太陽からの光と日射熱の利用と遮蔽や、地中熱の利用、自然換気(重力差換気など)などですので環境設備の知識をもち適切に建築計画へ盛り込める技量が求められます。

(注2)は地盤条件を考慮した基礎構造の計画とありますので、最近話題になった基礎杭問題や大地震による不同沈下などが影響した出題と思われます。
過去においては傾斜地に対しての基礎構造対応を問われる出題が何度かありましたが、地盤が悪いため適切な杭事業を選定して計画するとともに選定理由を要点の記述で求めてくる可能性も考えられます。

(注3)は天井の高い居室における天井等落下防止対策の考え方とありますが、これよりまず考えられるのが天井の高い大空間の出題です。これまでも大空間の出題がありましたが、その際の留意事項は主に次のようなものでした。
1.大スパンへの対応
2.各階をまたぐ空間構成への考慮
3.大空間の空調計画
4.その他(通風、採光、開放感、視認性、・・・)
ここにさらに天井落下防止への配慮が求められています。東日本大震災等にて問題となったことより法改正が行われましたので、ここにきて出題内容に盛り込んだと思われます。

このように、より多岐にわたる内容を6時間30分でまとめる力が必要になります。まずは、知識ベースをはやい段階(この2,3週間)で整理しておく必要があるでしょう。

アイキャッチ画像引用:ウィキペディアen

 

感共建築ラボ第3回セミナーチラシ

寺本が代表を務めております「感共建築ラボ」の3回目のセミナー&展覧会を開催いたします。

今回のセミナー内容は、「快適×健康×エコ×資産価値」と題し、資産価値を高める家づくり、結露しない窓、ヒートショックから身を守る健康住宅などについて講演を行います。場所は逗子駅西口から徒歩5分の株式会社キリガヤ 3階セミナールームです。

資産価値を向上させる家づくりについて興味ある方、是非お時間を合わせてお越しください。

●開催日時:3月5日(土)13時30分~16時30分(セミナーは14時~16時)
●会場  :株式会社 キリガヤ 3階セミナールーム
      (逗子市山の根1-2-35)
     JR逗子駅 西口徒歩5分です
●受講料 :無料
●申込み :氏名、住所、メールアドレス、緊急連絡先電話番号を記載のうえ、
      下記メールアドレスへお申込みください。
      info@kankyo-labo.jp
フォーム
からもお申し込み頂けます。ご利用下さい。
http://kankyo-labo.jp/form

感共建築ラボ第3回セミナーチラシ

感共建築ラボ第3回セミナーチラシ

現在工事中の住宅「太陽と風の家」ですが、お施主様のご好意により7/6(土)、7(日)にオープンハウスを開催する運びとなりました。

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エアコンを使わない自然な風や陽射しに包まれるような床冷暖房のみのパッシブデザインを基本とした住宅です。
陰影と柔らかさが心地よいです。ご興味のある方はぜひお越し下さい。
今回は、建設工事会社の(株)トトモニ様とのコラボレーションになります。なお、お申し込み制としておりますので、下記特設サイト内フォームよりお申し込み下さい。
http://terra-totomoni.com/

 

 

先日FKハウスにダイヤモンドカッターを抱えて訪問してきました。
写真のようなハンディーな回転刃ですが、すごい勢いでダイヤモンドの円板状の刃が回転します。写真に写ってる白い物体は気にしないで下さい(笑

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さて、これをどうするのかというと屋上の排水がよろしくないということで、排水用のU字溝を一部カットして排水ルートを増やそうというミッションです。

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とりあえず現地到着。あいかわらず緑豊かな環境です。外壁も1年半程経っていますがそれほど汚れも目立たずにいます。

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さて、資材を近くのDIYで調達してきました。砂利を粒の大小で2種類にわけて計6袋分ととりあえず排水の空間を作るためのネット4mと仮固定用の針金をゲットしてきました。黄色い物体は草刈り用のゴーグルです。これがないとU字溝のコンクリートを切るときの粉塵で目がやられてしまいます。ほかに216円のビニルガッパで粉塵から身を守る完全防備で臨みます。

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あとは壁に立てかけてあるスコップで穴掘り掘りの肉体労働が待っています。(もつのか腰・・・)

さてさっそく排水を増やすところの物色をします。

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U字溝の端にすると壁際に溝となるので見た目は良いのですが、排水効果を優先して水下のところで施工することにしました。

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写真の目皿のところが水下なので、そこの周囲の土を取り除きまして切断作業に入ります。
切断中は写真が撮れないのでお見せできませんが、不慣れな工具に腰が引けながらとんでもなく騒音と白い粉塵にまみれた上、ビニールガッパを来ているおかげでボクサーの減量中のような滝汗をかき続けること20分・・・

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切れました!さいごはスコップで「げい〜ん!」とひっぱたいて引きはがしましたが(笑

いや、怖かったです。持っている手のわずか5,6センチ先で高速回転しているのですから一歩間違えれば指を詰めてしまい分や違いの専門家と間違われてしまうところです。

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ここからはディグダグの世界です。(古!
芝生がしっかり根を張っていて体重をのせないと掘り進めず大汗かきながらの作業でした。設計では軽量土の予定だったのですが、施工時に普通の黒土を入れてくれたため、保水力がありすぎるせいもあり掘ると水が染み出てくる状態でした。まあ、防水の上なので躯体への影響はありませんが水の引きが悪いのは困りますのでどんどん作業を進めます。

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掘り進めた溝の底に砂利を敷き、その上に隙間をつくるための丸めたネットを設置します。とりあえずこれでどれくらいの状態になるか様子を見て、透水管に切り替えるか砂利だけで良しとするかを判断していこうという作戦です。

2015-05-01 16.40.04
ということで、さいごに砂利で敷き詰めてあげて作業完了デス!

 

これでしばらく様子をみることにしましょう。

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この時期は緑もすくすくと育ち心地よい風が家の中を抜けていきます。通風などのパッシブデザインをした住居なので居心地が大変良いです。別記事にてこの内容については触れたいと思います。

 

追記
排水施工後の雨天による状況ですが、これまでのような土がぷかぷかしてくることもなく、良好な排水状態であることが確認できました。まずは一安心です。

 

 

木造住宅現場写真和室へのアプローチ

「太陽と風の家」と名付けした住宅の現場も石膏ボード張りまで工程が進んできました。
空間の体感がしやすい状況になってきました。

木造住宅内装工事中の写真

木造住宅内装工事中の写真

土間下地まで施工が完了しています。このあとはタイルを張る工程が最後にあります。
壁は全室漆喰で仕上げるので写真の状態より明るく感じるようになります。とはいえ、落ち着いた住まいというのは場所によって空間的にも陰影にも変化があるほうが落ち着きます。どこもかしこも天井が高く明るい、という空間になってしまうとひとは落ち着くことができなくなってしまいます。このあたりも割とはっきりと感じられるような空間デザインをしています。

木造住宅現場鉄骨階段写真

木造住宅現場鉄骨階段写真

ちょっと変わった階段ですが、踊り場から2方向にわかれます。ひとつは2階のホールを目指していますが、もう1方向(左側)は和室に行くための専用階段となります。

木造住宅現場写真和室へのアプローチ

木造住宅現場写真和室へのアプローチ

階段をあがると浮いたような閉じこもり専用の和室へたどり着きます。つまり籠もり部屋です(笑

この住宅は温熱環境的にもさまざまな検討をしており、自然の通風を促すために開口部を大きさと位置を考慮しています。

温熱環境検討シート

温熱環境検討シート

日射については冬至の正午の太陽の位置が北緯35度近辺ですと30度くらいになりますが、夏至になると78度くらいになります。ですので冬場は日射熱の取り込みを期待するために熱を蓄えやすいコンクリート土間にタイル仕上げとしています。これにより土間とタイルが暖められ床暖房の効果が期待できます。
(専門用語でいうと熱容量の大きい素材によるダイレクトゲインと赤外線域の長波長再放射現象の内容になります。)

一方で夏場は日射熱を遮りたいので屋根の軒をのばして日射を防ぐようにしています。また庭に落葉樹を植えるか可変ブラインドをつけたパーゴラなどによる日射遮蔽の検討をしています。

通風に関しては開口部通風の入口と出口の位置を上下に計画して高低差をもたせています。これは高低差があると重力差換気による通風を発生させることができるからです。また、入口と出口の開口部の大きさを同じくらいにできるだけしています。これは換気量は入口と出口の開口部の大きさが同じときが一番期待できるからです。
(専門用語でいうと直列合成による総合実効面積の内容になります。)

このようにエアコンなどの設備に頼ることなく、できるだけ自然のままに暮らせる住まいを目指していろいろと考えています。ちなみにこのようなデザイン手法は、「パッシブデザイン」と表現されています。

6月末か7月にオープンハウスができればなと考えています。開催が決まりましたらお知らせしたいと思います。